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FUTABA+のあかさたな

FUTABA+京都マルイ店の本と雑貨とそれ以外

2月5日 歩く余白 

散歩写真

 

 目的や目的地を持たずに歩いたり、目的地があるにせよ、最寄りの駅から行こうとせずに、通常徒歩圏外と思われている駅から歩いていこうとする。そしてそのために結局目的地にたどり着けなかったとしても、しかたがないと考える。そういう行為を無駄だと考える人は多く、事情があってそう考えざるを得ない人もまた多い。嘆かわしいことだ。――滝口悠生『寝相』(新潮社)所収「楽器」より



昔はよく歩いたのに、最近はとんと歩かなくなった。なんて書けば、まるで老人の独り言のようだけれど、昔に比べるとやっぱり最近はほんとうに歩かなくなった。
二十歳過ぎの頃はやたらと時間を持て余していたのでとにかくどこへ行くにも歩いていた。というか、行き先もなく歩いていることが多かった。気が済むまで歩く。歩くことが自分にとって一種のセラピーのようになっていたのかもしれない。急ぐべき行き先も、待たせる相手も持たず、ぼんやりと風景に身をあずけてただひたすら歩く。だらだらと。
最近の自分にそういう「余白」のような時間が必要なくなったなんて思わない。たんに、忙しさにかまけて歩くことを怠けているだけなんだろうと思う。

去年読んだ本のなかでも格別嬉しい出会いとなった上記の小説は、ある種の散歩文学だった(もちろんそれだけじゃないけど)。
この小説の事を思い出しながら、たとえば本屋の一角に「歩くことのススメ」なんてテーマの棚があったらおもしろいんじゃないか、とふと思ったりするのは、近日入荷予定の『歩くこどもの感性空間 みんなのまちのみがきかた』(鹿島出版会)なんてタイトルの本が気になっているからというのもあるかもしれない。

街歩きを楽しめる、そういう余白をもう一度生活の中に取り戻したいなと思う今日この頃。春が待ち遠しい。

(Y)

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