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FUTABA+のあかさたな

FUTABA+京都マルイ店の本と雑貨とそれ以外

10 月1日 胸の中の剣が見あたらない* 

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「はて、ここには何が入っていたんだっけ?」

思い出せない。
昨日は何か入っていたかもしれない。
もしかしたら入ってなかったかもしれない。

何だったっけと考えながら、顔を洗い、歯を磨いて、お茶を飲み、家を出た。

私は京都マルイの6Fで働いている。
6Fのスターバックスの横の保険会社だ。
その人その人に合った保険内容を考えて勧めるのが私の仕事である。
朝は比較的のんびりしているが、夕方から忙しくなることが多い。
仕事終わりに相談に来る人が多いのだろう。

それにしても、河原町だけでも多くの保険会社がある。

マルイの向かいの高島屋の6Fや、
それとは反対側の向かいのコトクロス京都の4Fと5F(2つのフロアがあるなんて驚きである)、
少し歩くが河原町通りを四条から三条へ北に向かう途中にも最近オープンした大きな保険会社があるのだ。

みんな、目に見える形で安心したいんだな。
私もそう思う。

19時に仕事が終わりまっすぐに家に帰ったがやはり棚の中は空っぽだった。

さて、これから何をいれよう。
空っぽの棚は2つ。
こんなにたくさんのものが入っていたのに思い出せないなんて。

一体何が入っていたのだろう。



そのようにして最初の一日を終えてしまうとあとの70年は同じことである。

2085年、私は100歳になった。

長生きしたような気もするが、2つ先の惑星に住むジンさんに較べればだいぶ若いほうだろう。
ジンさんは今年で156歳である。


久しぶりに家族が集まり、お祝いをしてもらい、みんなでおしゃべりをしているとき、一人の孫が尋ねた。

「おばあちゃん100歳まで生きてどうだった?」

私はよく考え、にっこり笑い
「そうだね。
生きることは出会うことだったね。」

と言った瞬間、70年前に失ったものを思い出してしまった。

70年前、いや、もっと前から私が大切にしていた言葉、
それがどこから来たのか、どこで見たのか、失ったものが何だったのか。

どうして忘れていられたのだろう。

どうして平気だったのだろう。


「あら、おばあちゃん、泣いてるの?」

「ごめんね。でも今日が本当の意味で、私の誕生日なんだよ。」

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本はなくなってもいいですか?(i)

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